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マラソン、トライアスロンの塩分補給戦略
トレーニングで汗をかくことはつきものですが、汗をかくと体内の水分と一緒に塩分も失われていきます。
特にこの記事を書いている7月は屋外で走ったりバイクにのると非常に多くの汗をかきます。
運動中に体内の水分や塩分が減少するパフォーマンスが低下するだけでなく、最悪死に至るケースもあります。
そこで今回はマラソンやバイクトレーニングなど持久系スポーツにおけるパフォーマンスを最大化しトレーニング効果を高めるための「塩分補給」について考えていきたいと思います。
運動でどれくらいの塩分が失われるのか
夏場に屋外でランニングなどの運動をすると、気温や湿度、体型やペースにもよりますが1時間あたり1リットル前後の汗をかくといわれています。
人の汗には0.1~0.5%の塩分が含まれており、つまり1時間で1リットルの汗をかいたとすると1~5gの塩分が失われていることになります。
汗に含まれる塩分の割合は運動の継続により徐々に増加するといわれており、夏場を例に挙げると運動開始直後は0.1%と塩分の割合は少ないですが、運動開始1時間で0.3%前後となり、脱水手前の状態では0.5%となります。
運動中はどれくらいの塩分を補給すれば良いのか?
運動時の塩分補給の基本は「失った分を水分とともに摂取すること」。
人の体液(血液)は一定の塩分濃度(0.9%)で保たれており、塩分濃度が変化すると水もしくは塩分を体外に排泄して元の濃度に調整する機能があります。
その為、汗で失った分以上に摂取しても吸収されずに排泄されてしまいムダになってしまうのです。
運動時の汗の塩分濃度は初めは低く運動継続に伴い徐々に高くなっていくため時期や時間帯によって失われた分の塩分を補給していくと無駄なく必要な塩分を摂取することができます。
ただし汗のかき方には個人差があるため、序盤から多く汗をかく場合は序盤から塩分を多めに取るなど調整が必要です。
塩タブレットの落とし穴
また、塩タブレットなどで塩分を補うのも良いと思いますが、注意点が1つ。
タブレットは食べやすい味に調整されているため含まれている塩分は比較的少なめだということです。
食塩1g=ナトリウム400mgなので、一粒あたりどれくらいのナトリウムが含まれているかが分かれば簡単に計算できるのですが、
有名なものだと、
ミドリ安全「塩熱サプリ」
→1粒あたりのナトリウム含有量34.3mg、食塩相当量0.085g
Kabaya「塩分チャージ」
→1粒あたりのナトリウム含有量42.8mg、食塩相当量0.107g
「塩熱サプリ」だけで塩1g分を補うとなると11~12粒の摂取が必要になることになります。
トレーニング中に1時間に塩1g摂取したいとしたら、1時間で10粒以上食べないといけないなんて現実的には難しいですよね。
ちなみにスポーツドリンクは、
「ポカリスエット」
→100mlあたりのナトリウム含有量49mg、食塩相当量0.123g
「アクエリアス」
→100mlあたりのナトリウム含有量40mg、食塩相当量0.1g
タブレット1粒とスポーツドリンク100mlでほぼ同等のナトリウムを含んでいると考えて良いでしょう。
夏場だとトレーニング時間が1時間を超えてくると1時間あたり3gの塩が必要になりますが、3gの塩を摂ろうと思うとタブレットとスポーツドリンクだけでは難しい(不可能ではないけど大変な)ので、経口補水液を用意するかそれに代用できるものを用意する必要があります。
屋外での具体的な塩分補給方法
ここまでの内容をもとに、ここからは具体的な塩分補給方法をお伝えします。
時期によって気温や湿度の違いから汗のかきやすさが違うため、季節ごとの屋外でのトレーニングを想定して考えていこうと思います。
塩分補給(春)
- 運動開始直後は水か薄めたスポーツドリンク(塩分濃度0.1%程度)
- 中盤(運動開始30分〜2時間)はスポーツドリンク+タブレット(0.2%程度)
- 終盤(運動開始から2時間以降)は経口補水液(0.3%)
塩分補給(夏)
- 運動開始直後はスポーツドリンク(塩分濃度0.1%程度)
- 中盤(運動開始30分〜1時間)はスポーツドリンク+タブレット(0.2%程度)
- 終盤(運動開始から1時間以降)は経口補水液(0.3%)
塩分補給(秋)
- 運動開始直後は水か薄めたスポーツドリンク(塩分濃度0〜0.1%程度)
- 中盤(運動開始30分〜2時間)はスポーツドリンク+タブレット(0.2%程度)
- 終盤(運動開始から2時間以降)は経口補水液(0.3%)
塩分補給(冬)
- 運動開始直後は水か薄めたスポーツドリンク(塩分濃度0〜0.1%程度)
- 中盤(運動開始30分〜2時間)はスポーツドリンク(0.1%程度)
- 終盤(運動開始から3時間以降)は経口補水液(0.3%)
各季節の中でも春でも夏のように気温が高い日もあるし、冬のように寒い日もあります。
その日の気象状況で調整が必要かと思いますが、おおよそこんな感じで良いのではないかと思っています。
運動終盤はそれぞれ経口補水液くらいの塩分が含まれた飲料が理想ですがなかなか用意できない場面も多いと思うので、ここからは自宅や出先で用意する方法をお伝えします。
経口補水液を用意する方法
①簡易的に経口補水液を作る
塩分濃度1%で「水1リットルに10gの塩が含まれている」状態です。
経口補水液の塩分濃度は0.3%なので、これを知っていれば自分で簡単に作ることができます。
水、塩分だけよりも糖分が含まれていることで吸収速度が上がるので、砂糖やハチミツを加えて作るのが良いでしょう。
~経口補水液の作り方~
①水1リットル、塩3g、砂糖40gまたはハチミツ大さじ3、レモン汁適量(ポッカレモン)を用意する。
②材料をペットボトルなどに入れ、混ぜる
これだけで簡易的に経口補水液を自作できます。
個人的にはレモン汁を多めに入れることで酸味によって甘味や塩味が緩和されて運動中にも飲みやすくなるためおすすめです。
②スポーツドリンクに塩を追加する
ロングライドなど、必要なドリンクを全て持っていけない場合は「塩を持参し、自販機などで購入したスポーツドリンクに足す」方法がおすすめです。
スポーツドリンクには500mlあたり0.5gの塩が含まれており、これに1gの塩を足せば塩分濃度0.3%となり、経口補水液と同じ塩分濃度になります。
私はこの方法を外出先で試す前に自宅の秤で試しましたが、親指と人差し指で軽くつまむとおよそ0.5gでした。
そのため2つまみ分の塩を足すことでおよそ1g追加することができます。
自分はコンビニで900mlのポカリを買ってそこに4つまみ弱の塩を入れてシェイクして飲んでいます。
大会への応用
マラソンやトライアスロンのレース中はエイドに水やスポーツドリンク、塩などがおいてある大会が多いので、それらを利用して自分の身体の状態に合わせて摂取すると良いでしょう。
水150~200mlと塩1つまみ=およそ0.5gを摂取すると、塩分濃度はおよそ0.3%となります。
自分が冬にフルマラソンを走った際は、10kmまでの序盤は水+スポーツドリンク(0〜0.1%)、10km〜30kmの中盤はスポーツドリンク(0.1%)、終盤は水+塩1つまみ(0.3%)を摂っていました。
気温や湿度などの気象条件によって合わせる必要がありますが、この考え方おすすめです。
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