2019年1月からパワートレーニングをはじめ、FTPの向上を目標に取り組んできました。
その結果、1年間でFTPは当初の215wから286wまで上げることができました。
この記事では自分の実際のトレーニングを振り返りながら、FTP向上に最適なトレーニング計画について考察していきます。
自分も思ったように効果が出ずに少し遠回りをしたなと思う期間がありました。
そういった部分も含めて発信することで、この記事を読んでくれた方が自分よりも効率よくFTPを向上させるための参考になればと思います。
※この記事では「FTPの向上」に主な目的としたトレーニング計画を紹介しています。FTPが高ければレースでも良い結果を残すことができるとは限りません。レース特性に合わせたトレーニングも必要となると思いますので、その点ご理解いただいた上でお読みください。
目次
FTP向上のために
FTP向上のためのトレーニングの前に
トレーニングを開始する前に、現在のFTPを把握しておく必要があります。
FTPとはFunctional Threshold Powerの略で、「1時間回し続けられる出力の上限」のこと。
FTPはパワーメーターやパワー計測可能なローラー台などを使って計測することができます。
計測方法はコーガン法やランプ法などいくつか方法がありますので、ご自身で行いやすい方法を選んで行なってください。
自分は計測方法で最も一般的なコーガン法の20分TTで行なっています。 FTPの計測方法はこちらで詳しく解説しています。
このあと紹介するトレーニングではFTPを基準に強度を設定します。
効率よくトレーニングするには最適なトレーニングの強度設定が必要です。
そのため定期的にFTPを計測するようにしましょう。 自分は約1〜2ヶ月ごとにFTPを計測しています。
FTPを向上させるためのトレーニング
以前、FTPの向上に取り組んできた経緯から実際に効果を感じられたトレーニングについてまとめました。
ここでは高強度インターバルのメニューを中心に紹介しています。
ですが、FTPの向上には色々な要素が関わるため高強度のメニュー以外にもFTPを向上させるメニューはいくつもあります。
バイクのパワートレーニングにおいて、トレーニングはFTPを基準に3つの強度に分けられます。
- 高強度(FTP100%以上)
- 中強度(FTP70%〜100%)
- 低強度(FTP70%以下)
有名なものだと、VO2maxインターバルやソリアは高強度、メディオやLT走は中強度、LSDは低強度となります。
不得意分野の把握
これらをどのくらいの頻度で、どう組み合わせて行うのがFTP向上のためにベストなのかを考えていきますが、ここで難しいのは個人差です。
短時間だけど高出力を出すことが得意な「スピード型」の人もいれば、出せる出力は低いけど持続的に力を発揮することが得意な「持久型」の人もいます。
マラソンの練習などと同じで、全ての人に万能なトレーニングプランはありません。
そのためまず、自分がどのタイプなのか、どういう能力が不足しているのかを知ることでより適切なトレーニング計画を立てることができるのではないかと考えています。
FTPを計測したらまず以下の3つのトレーニングを行ってみることで概ね自分のタイプを判別できると思います。
- FTP130%3分
- FTP100%20分
- FTP80%60分
1つ目はVO2max、2つ目はメディオ、3つ目はLSDよりもそれぞれ少し上の強度です。
これらを一通り行ってみて3つのうちどれが一番苦しく感じるか、逆に楽に感じるかで自分の得意/不得意分野がおおよそ掴めます。
重要なのは一番苦しく感じたものはどれかということ。
一番苦しかったものを不得意分野として、それに対するトレーニングを重点的に行うことでもっとも効率よくFTPを向上させることができるのではないかと考えています。
- が苦手=VO2maxインターバルトレーニング
- が苦手=メディオ(SST)トレーニング
- が苦手=LSDトレーニング
このあとにもいくつかトレーニングメニューを紹介していますが、FTP測定後にそれぞれ中1日程度でこれらのトレーニングをそれぞれ上記のように少し強度をあげてやってみることで苦手な分野を掴んでおくと良いと思います。
タイプ別のトレーニング計画
ここでは週3〜4回トレーニングが可能であることを想定してトレーニング計画を考えていきます。
※特に優先度の高いものは太字になっています。トレーニングできる日が限られている方は太字のメニューを優先的におこなって下さい。
①高強度が苦手な人のトレーニング計画
高強度が苦手な人はFTPに対しVO2maxの値が低いことが考えられます。
そのためFTP以上の強度でのトレーニングを積極的に取り入れてみましょう。
FTPの110%や120%の強度で行うインターバルトレーニングを週2回程度行うことでVO2maxの向上を図ります。
- 月曜 LSD(FTP60〜70%)90分
- 火曜 レスト
- 水曜 VO2max(FTP120%3分×3)インターバル
- 木曜 レスト
- 金曜 LSD(FTP60〜70%)90分
- 土曜 レスト
- 日曜 FTP110%5分×4インターバル
平日は短時間のインターバル、週末は少し長めのインターバルですが、どちらも1時間以内で完了するメニューです。
どちらのインターバルも強度が高いのでLSD以外の日は疲労をしっかり抜くためにしっかり休養に充てます。
V02maxインターバル3分×3
- アップ10分
- 120%3分+50%3分 ×3
- ダウン5分
合計33分
FTP110%5分×4インターバル
- アップ10分
- 110%5分+50%5分 ×4
- ダウン5分
合計55分
LSD FTP60%〜70%90分
- アップ5分
- 60%〜70%90分
- ダウン5分
合計1時間40分
②中強度が苦手な人のトレーニング計画
中強度が苦手な方はSSTやメディオで中強度で持続させる力の向上を図りますが、最近では「polarized training」(高強度と低強度の両極のトレーニングを中心に行うトレーニング方法)でもあるように、中強度中心のトレーニングプランよりも高強度や低強度も取り入れた方がよりパフォーマンスの向上につながるといわれています。
- 月曜 レスト
- 火曜 SST
- 水曜 VO2max(FTP120%3分×3)インターバル
- 木曜 レスト
- 金曜
- 土曜 SST
- 日曜 LSD(FTP60〜70%)90分
高強度や低強度も大切ですが、中強度でのトレーニングをしっかりこなすことも重要となります。
SST(Sweet Spot Training)
- アップ5分
- FTP96%5分+88%5分×4
- ダウン5分
合計50分
③低強度が苦手な人のトレーニング計画
ひく強度が苦手な人はスピードや乳酸除去能力に対して有酸素能力が低いことが考えられます。
低強度で長くトレーニングすることが基本となりますが、あまり強度が低過ぎるとトレーニング効果が少なく、またあまりダラダラ長くなることも効果が薄いので適度な強度で90分〜120分のトレーニングを行うと良いでしょう。
- 月曜 レスト
- 火曜 VO2maxFTP120%3分×3インターバル
- 水曜 レスト
- 木曜 LSD(FTP60〜70%)90分
- 金曜 レスト
- 土曜 LSD(FTP60〜70%)90分
- 日曜 LSD(FTP60〜70%)120分
低強度だけでは身体が低負荷に慣れてしまうので、週1回は高強度のメニューも取り入れましょう。
自分のFTPの推移
余談ですが、誰かの参考になればと思い自分自身のトレーニング経過を記しておこうと思います。
- 2019/1/20: 215w
- 2019/4/3: 221w
- 2019/7/1: 236w
- 2019/8/23: 257w
- 2019/10/30: 271w
- 2020/1/1: 286w
2019年1/20に初めてFTP計測を行い、結果は「215w」 それからメディオ(FTP95%20分×2)を中心に週2〜3回のトレーニングを開始。
ほとんどメディオしかやっていなかったと思います。 これを2ヶ月ちょっと続けましたが、4/3時点で221wと思ったより伸びませんでした。
そこでメニューを見直して、FTP以上の強度でのトレーニングを取り入れてみることにしました。
ここからVO2maxインターバルなど高強度のトレーニングを開始しそこから順調にFTPは向上しました。
自分には根本的な最大出力が不足していたんだと思います。
このような経験からも自分の苦手分野に焦点を当てたトレーニングを行うことで効率よくFTPを上げていけるものと考えています。
皆さんのFTP向上に少しでも参考になることがあれば幸いです。
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