目次
ビルドアップ走とは
マラソンのトレーニングでよく用いられるビルドアップ走。
前半をゆっくり入り、後半にかけて徐々にペースを上げていくというトレーニング方法です。
一般的なビルドアップ走のペースのあげ方に決まりはないのですが、
- あらかじめ設定しておいたペースに合わせて上げていく方法
- 体が温まってきたらペースを上げていく
大きくこの2つの方法があると思います。
最近よく練習に取り入れるのですが、時間的コスパも良くトレーニング効果も高いような実感があったので今回そのメリットをまとめてみました。
コスパ抜群ビルドアップ走の具体的方法
自分がよく行うのは10〜12kmのビルドアップ走です。
ここでは「サブ4」、「サブ3.5」、「サブ3」を目指す方におすすめのビルドアップ走について紹介します。
下のどのメニューにも共通するのは、ダニエルズの各目標タイムに該当するVDOTのEペース下限のペースから開始して4kmまではEペース内で走り、それ以降はTペースまで徐々にペースを上げていき(ビルドアップしていき)、ラスト1kmはTペースよりも速いペースで走ることです。
ダニエルズのことをよく知らない方も以下のペースを参考にしてもらえればと思います。
ポイントは4kmまでは無理にペースアップしないこと。
身体が温まってきて自然とペースが上がってくるのを待ちます。
もし自然とペースが上がってこないのであれば、それは疲労が溜まっていてハードな練習すべき状態ではないのかもしれません。
その場合はjogに切り替えて4〜6kmほどで中止して翌日以降に実施した方が良いと思います。
サブ4向けビルドアップ走(10km)
- スタート〜2km 6:54/km
- 2km〜4km 6:54/km〜6:11/km
- 4km〜9km 6:11/km〜5:19/km
- ラスト1km 5:19/km〜5:05/km
サブ3.5向けビルドアップ走(10km)
- スタート〜2km 6:03/km
- 2km〜4km 6:03/km〜5:23/km
- 4km〜9km 5:23/km〜4:38/km
- ラスト1km 4:38/km〜4:25/km
サブ3向けビルドアップ走(12km)
- スタート〜2km 5:15/km
- 2km〜4km 5:15/km〜4:38/km
- 4km〜11km 4:38/km〜4:00/km
- ラスト1km 4:00/km〜3:50/km
以上のように例を3つあげましたが、自分の走力や目標に合わせてペースは変更可能です。
それぞれの総力や目標タイムからペースを算出し参考にしてみてください。
ビルドアップ走のメリット
このビルドアップ走について、ここではまず一般的なペース走と比較した時のメリットを考えてみようと思います。
メリット① 乳酸が溜まりにくい
通常、静止状態またはゆっくりとしたペースから急にペースを上げると、まず「解糖系」のエネルギー産生が行われます。
この「解糖系」は酸素を必要としないので「解糖系」を主とした運動は「無酸素運動」とも呼ばれます。
この逆は「有酸素運動」で、「酸化系」と呼ばれる酸素と脂肪や乳酸を反応させエネルギーを産生する機能のことです。
上記のように、急にペースを上げると酸素の供給が追い付かず、無酸素運動で対応しますが、酸素の供給が追いついてきたら徐々に有酸素運動の割合が増えてきます。
無酸素運動では糖を代謝してエネルギーが産生されるとともに「乳酸」が多く産生されます。
乳酸はやがて酸素と反応してエネルギーとして再利用されますが、序盤から乳酸を貯め込むと再利用が追いつかず長時間トレーニングをする上では不利な状況となってしまいます。
しかしビルドアップ走では前半ゆっくりしたペースで入り、途中も急なペースアップがないため、ペース走と比較して序盤の乳酸産生が生じにくいと考えられます。
そのため、長時間のトレーニングに有利であると考えられます。
メリット② 遅筋から中間筋/速筋までバランスよく鍛えられる
ペースを変化させることで得られるメリットとして、序盤は遅筋、中盤以降は中間筋/速筋と時間帯によって異なる筋を1つのトレーニング内で鍛えられる点があげられます。
我々の身体には速筋、中間筋、遅筋の大きく3種類の筋肉があります。
速筋は無酸素系運動で多く動員され、遅筋は有酸素系運動で多く動員されます。
それぞれを最大限に鍛えるとなると別々のトレーニングで鍛える必要がありますが、その時間がない場合にはビルドアップ走は有用性が高いと言えるでしょう。
メリット③アップを必要とせず、時間効率が良い
設定ペースにもよりますが、ビルドアップ走ではゆったりとしたペースから開始して身体が温まってきたらそのまま徐々にペースをあげていきます。
スタート直後はEペースの下限なのでアップなしでも走り始められると思います。
つまりメインの練習にアップも含むことができるので、別でアップの時間を設ける必要がなくその分時間短縮になります。練習メニューとしての時間的コスパが高くなります。
メリット④ その日の身体の調子に合わせて強度を調整しやすい
これが1番のメリットであると思うところです。
身体のコンディションはその日によって異なるもの。
調子の良くない日に強度の高い練習を行っても効果は望みにくいです。
普段は練習メニューをこなす時は事前に考えておいたメニューのペースや距離をこなすことに集中ますが、それにとらわれすぎてその日のコンディション、つまり「身体の声」を聞き逃してしまうことが多い。
ペース走などでメイン練習で速いペースで走りだすと、その時点で身体のコンディション以上の負荷をかけてしまっている場合があります。
そういう時はスパッとペース走をやめてゆっくりしたジョグに切り替えるのですが、ランニング初心者のころはなかなかやめられないんですよね。
一方ビルドアップ走は序盤ゆっくりしたペースで入るため、前半で調子の悪さに気づいてそこでペースを落とせばペース走ほど体へのダメージは加わりません。
まとめ
ここまでビルドアップ走のメリットを上げてきましたが、この練習だけ万能というわけではありません。
レースで一定ペースで走ることに慣れること、スタートから目標ペースで走ることができるようにはペース走も必要だし、VO2maxを高めるにはインターバルトレーニングも必要だと思います。
ですが、時間的な制約のある市民アスリートにとっては良いトレーニング方法だなと思うので、積極的に取り入れてみてはどうでしょうか?
http://endurance-training.com/2019/12/04/%e3%80%9012-2bike-interval-12-3run30km%e3%80%91/
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